「今の会社でもうちょいがんばるか~」と思える転職本(読書感想『天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論』)

こんにちは、じゅけいです。

『天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論』(山口周 著)

 

天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論 (光文社新書)

天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論 (光文社新書)

 

 

 

を読みました。

この本は、就職して間もない頃、いきなり今の会社が嫌になった私が、prime readingを漁って見つけた一冊でした。通勤電車の中で死んだ目をしながら読んでいるうちに「今の会社でもうちょいがんばるか~」と思えた本でした。

それからしばらく経ち、社会人生活にそれなりに慣れ、「まあ今すぐは辞める必要はないかな~」と思えるようになりました。ただ、別に今の会社に100%満足してるわけじゃあないし、会社の将来性に不安もあるので、「場合によっては転職しなきゃいかんだろう。せっかくだし久しぶりに読むか~」と、このたび再読しました。

そしたら、読後の感想は変わらず、「今の会社でもうちょいがんばるか~」と思えた本でした。

 

この本は、「自分にとってベストな働き方をどうやって見つけるのか、そしてそれをどうやって実現させるのか」という根源的な部分を扱っています。エリートな経歴の著者の経験とか人事を扱うコンサルとしての経験を元に書かれたとのことですが、あまり突飛なことは書いていないため、私のような凡人にも有用だと感じました。

 

本を読んで大事なのは、それを元に何かしらのアウトプットを出すことだと言われます。ってことで、読んでて印象に残った部分をさらっとメモしてましたので、紹介しつつ感想を書きます。

 

 

 

 

・自分が何が得意かというのは、色々やってみないとわからない

・仕事の面白みも、何年かやらないとわからない 

 

こういった論を元に、新卒で入った会社にずーっと勤め上げることがいかに不自然なことかについて語られていました。

まだ社会人になって歴が浅い私ですが、就活中には気づかなかったor気づいてたけど軽視していたことが案外職選びに重要だったかもなあと思うことは多々あります。そんな大事なことに気づいてない状態で選んだ職を一生やらないかんのかあ...と思うと割とげんなりするので、転職をするか否かは別にして、そういう選択肢もあるよねと思いながら働く方が、精神衛生上は良さそうです。

 

一方で、何年か働かないと分からない仕事のおもしろみというのもあるわけで、経験が浅いうちに辞める決断をするのもかんがえものだとのことです。これは何か縛りのようにも思えますが、逆に言えば、今はつまらんだの大変だの思っていてもどこかでそれが面白いに転換する瞬間が期待できるというわけです。こう思った方が割と希望的だよなあと思います。もちろん今すぐ逃げないといけないような異常事態であることが明白な職場ってのもあるわけなので、そこは見極めになっちゃいますけどね。

 

・何がしたいかというより何を譲れないのか(キャリア・アンカー)を適切に把握し、それが守れる選択をするのが大事。一方でこれは外部環境によっていくらでも歪められるくらいには脆弱。

 

この考え方は、就活するときに持っていたら良かったかなあと思います。そもそも何がしたいかなんてきっちり決まっている人ってそう多くないです。しかも外部環境(親からの言葉とか世間の風潮とか)で自分の意志はガタガタにゆらぐわけです。譲れないことを確実に一点決めてその一点は守れるような選択をするのが大事なのはそうだよなあと思います。

私もこれまでの人生で、ひとつのメリットばかり目を向けていた結果、猛烈なデメリットを無視した選択をしてめっちゃ後悔したみたいな経験があります。色んな要素を考慮するのは大事ですが、それによって一番大事な部分を失ったら本末転倒なわけです。

 

・社会の流動性が高まる昨今、キャリアのいい偶然を如何にして引き寄せるかが大事。

・引き寄せるには好奇心、リスクテークの心、粘り強さなどが大事。また、仕事上の同僚に信頼される必要がある。

 

著者は、世間で一般的な、「目標を定めて、そこから逆算してキャリアプランを組む」という手法には批判的です。「これからの世の中は変化が大きいので、先のことが予測できない」「ものを知らない若い内に立てた計画は、本当に自分がやりたいことかどうか限らない(先述した通り何がしたいかというのはある程度経験しないと分からないし、外部環境でいくらでもゆがめられるから)」といったことがその理由です。

一方でキャリア論には、「キャリアは良い偶然によって作り出される」という論もあります。著者はそちらの方が適切だという立場を取っています。

となると、①良い偶然をいかに引き寄せるか、②引き寄せた偶然をいかにうまく活かすか というのが問題になるよね。ということで、①に言及したのがこちら。

やはり好奇心が大事ってことなので、新しいことに物怖じしない心が必要だなあというのはその通りなのですが、もう一つ、仕事上の同僚に信頼される必要があるというのはこれまで考えたことがないところでした。

ある調査で、仕事上の良い縁は、友人などよりも仕事上の同僚辺りから来ることが多いからと分かったことから、こう語られているのですが、その理由は、「知り合いレベルだと、自分がどれほど仕事ができるか、どの程度の人間なのか分からない。友人だと気が合う人が多い=自分と似た価値観の人が多いので、よほど良い縁は生まれにくい。中間の仕事上の同僚だと、自分がどの程度仕事できるか分かっているし、また考え方は異なるので、仕事上のよい縁が生まれやすい」という趣旨のものでした。

良い転職をするためには、今の会社で良い働きをして信頼される必要があるというのは、面白い話ですね。

 

 

・会社に縛られない自由を得るためには、一時期(特に若いとき)に会社に縛られる不自由を経験してスキルを上げる必要がある。

 

私は、会社の中では割と忙しめな部署で働いています。私よりずっと立派な会社でのんびり働いている大学の同期とかみると「この人は私よりも暇そうだけど、ゆくゆくは割と忙しめな私よりもいい給料をもらうんやろなあ。いいなあ。」というなんとも不毛な考えに至ることがあります。

ただ、こういうのを見ると、苦労するのも悪くはないかもしれんなあと思えます。「若いときの苦労は買ってでもしろ」ってのは慣用句になるくらいありふれた言葉なので、何を今更って感じなのですが、まあこう改めて言われると身に染みますね。

 


・攻めの転職のときには人は往々にして得られるものを見がちだが、失うものにこそ意識を失う必要がある。

 ・仕事によって求められる性質は全く違う。違う性質の仕事をまたぐ時はそこに失敗のリスクがあるので注意が必要。

 

先ほど話した私の失敗(ひとつのメリットばかり目を向けていた結果、猛烈なデメリットを無視した選択をしてめっちゃ後悔した)はこういったところに目を向けていなかったからというのがあるんだと思います。

 

○最後に

ってことで、転職も考えなきゃと思って読んだ本から得た結論が、「今の会社で仕事を頑張ることが、ゆくゆく転職をする際にも大切なのか。ならさしあたり今の会社で頑張るのが現状は最善の選択だな~」となったのでした。

陳腐っちゃ陳腐な結論ですね。ただこの本は著者の経験と共に、さまざまな研究結果・調査結果が証拠として示されているので、陳腐な結論でも説得的と感じました。ありふれたことがなんだかんだ大切なんだなあ〜と思いました。

 

おしまい